「ちいさい秋みつけた」2018.11.01

鳴けよ虫 秋が鳴かずに 居らりふか  小林一茶
 

 都心から郊外に居を移して自然を間近に感じるせいか、はたまた年のせいか、
最近は、季節の移ろいをとても大切に感じます。
 特にこの時期は、無性に森に行ってみたくなります。落ち葉を踏みしめる柔らかな
感触を味わい、冬支度を始めた森の匂いを深く吸い、風や虫が奏でる森の音も楽しみ
たいのです。聞けば、これは脳科学的にも理にかなっているそうです。
 もし、少しお疲れならこの時期は森の散歩がお薦めですよ。
 

 そして、毎年秋になると発表されるノーベル賞。
今年ノーベル生理医学賞を受賞されたのは京都大学の本庶佑特別教授でした。免疫の
働きにブレーキをかける「PD-1」を発見し、癌の最新治療薬「オプジーボ」の開
発に貢献したその功績は、言うまでもなく多くの人を助けることになります。
 その成果は勿論ですが、76歳にしてあの強い目力、そして次々と語られる名言に
私は惹かれました。教授が学生時代から追い求め続けたのは『6つのC』。それは、
好奇心(Curiosity)、勇気(Courage)、挑戦(Challenge)、確信(Confidence)、
集中(Concentration)、継続(Continuation)。研究者のみならず、物事に取り組
む姿勢、自分の在り方にも通じる、深みのある6つの「C」です。さらに教授は「教
科書に書いてあることを信じるな」と言います。これもまた表面だけでなく、本質や
基本をしっかり熟知した者だけが言える深い言葉ではないでしょうか。自分の頭で考
えて、自分の目で見て、納得のいくまで研究するという教授の研究観。まさに研究者
魂です。
 教授は、後続の研究者のためにノーベル賞の賞金を京都大学に寄付し、研究費を若
者たちにもっと使って欲しいと政府に要請されたと聞きます。これも若き研究者たち
への教授からの激励でしょう。うんっ!ブラボー!
 

 もうひとつ、秋と言えば虫の声。虫の鳴き声を「声」として認識するのは世界中で
日本人とポリネシア人だけだという事実をご存知でしょうか?これは決して情緒的な
問題ではなく、脳のメカニズムに関係しているということを東京医科歯科大学の角田
忠信教授が解明しています。人間の脳は「右脳」で音楽や機械音、雑音を処理し、
「左脳」で言語や論理的知的な処理をするのですが、虫の声や雨の音、波の音などを
日本人とポリネシア人は言語脳である「左脳」で処理し、欧米人は雑音と同じ「右脳」
で処理しているというのです。面白いと思いませんか?
 秘密は母音を中心に持つ言語にあるそうですが、いずれにしても、生きとし生ける
ものの「声」に耳を傾ける日本人の自然観は大切にしたいものです。

 
 
                       by 福岡のHandsome Woman

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